最新の医療技術を使えば、男性が妊娠して赤ちゃんを産むことも可能

2月21日付の英日曜紙サンデータイムズは、イギリスの体外受精の先駆者のひとりであるロンドン大学のロバート・ウィンストン教授のこんな常識を覆す見解を紹介した。

教授によると、体外受精した胚(はい)を男の腹腔内に移植し、大腸などの内蔵に「着床」させる。胎児は胎盤を通じて大腸から栄養分を吸収して成長、臨月を迎えたら開腹手術で取り出す。男性には流産を防ぐため大量の女性ホルモンを投与する必要があるが、原理的には女性の子宮外妊娠と同じ。

実際にイギリス・オックスフォード州で、受精卵が女性の腹腔内に移動して大腸の表面に着床、無事に育って生まれるという珍しい子宮外妊娠の例があった。

同性愛の男性カップルにとっては朗報? かもしれないが、早くも賛否両論が出ている。

ノッティンガムの不妊治療センターのサイモン・フィシェル博士は、女性が事故で子宮を失い、代理母使わずに子供をつくりたいと望んでいるカップルには倫理的に問題はなく、危険性さえなければ施術するだろうと賛成論。

これに対し、やはり体外受精専門家のイアン・クラフト氏は、「男が妊娠可能でも、認めるかどうかは別問題。危険が伴うし、自然の摂理にも反する」と反対を表明した。

通過儀礼としての男同士のセックス

太平洋の赤道の南、オーストラリア大陸の北-北東に位置するニューギニア島、ビスマルク諸島、ソロモン諸島、フィジー諸島などを含む地域をメラネシアと呼びます。

これらメラネシアの島々に住む部族の間には、少年を一人前の男にするための通過儀礼(イニシエーション)として、少年の体内に成年男子の精液を注入する風習があったことで知られています。

これら少年への精液伝達の風習を持つ部族では、精液は少年が一人前の男になるために必要不可欠な物質であると考えられていました。

ちょうど赤ん坊が母親のミルク(母乳)を飲んで育つように、少年はオトナの男のミルク(精液)を飲むことで成長して逞しい男らしい体つきになり、ペニスも大きくなると信じられていたのです。

このような部族では、精液は少年の体内で自然に生成される物質ではなく、オトナの男から少年に伝達する必要があると考えられていました。

少年が将来、オトナになって女性と結婚して子供を作るためには、当然、精液が必要になってくるのですが、そのためには、少年時代にオトナの男とセックスして、自分の体内にオトナの男の精液を貯蔵、蓄積しておかなければならないと考えられていたのです。

少年たちは9歳か10歳に達すると、それまで一緒に住んでいた母親や姉妹から切り離され、一人前の男になるイニシエーションを受けるために女人禁制の「男の家」に入ります。

イニシエーションの期間は部族によって異なりますが、この期間中は、少年は「男の家」から出ることを許されず、女性との接触は一切、禁じられます。

そして「男の家」に閉じこもって年長の男たちから精液を伝達されるのです。

精液伝達の方法は、ニューギニア高地に住むサンビア族の場合はオーラル・セックス、ニューギニア南西部沿岸地域に住むマリンド・アニム族の場合はアナル・セックス、

同じくニューギニア南西部コレポム島に住むキマム族の場合はアナル・セックスに加えて、鋭い竹のナイフで少年の身体に傷をつけ、その傷口に精液をすり込むといったように部族によって様々です。

いずれの部族においても少年が一人前のオトナになるためにはこの精液伝達の儀式が欠かせないものであると考えられ、部族の少年全員にこのイニシエーションへの参加が義務づけられたのです。

「なんぼ嫌やいうても、やらんとあきまへんのや」

といった感じでしょうか・・・

特に精液注入に熱心なキマム族などでは、イニシエーションの期間中、少年たちは「男の家」で夜毎、7人から8人の男たちに代わる代わるバックを犯されて精液を注入されたそうで、一人前のオトコになるのも大変です。

ちょっと体験してみたい気もしますけど・・・(笑)

少年への精液伝達のパターンとしては、上記のように「男の家」で不特定多数の男たちによって体内に精液を注入されるパターンとは別に、

特定の年上の男性と義兄弟、あるいは義理の親子関係を結んで、その男性から精液の注入を受けるというパターンもあったそうです。

このような場合、精液の提供者になるのは、少年のおじ(母親の兄弟)や義兄(姉の夫)が多く、イリアン・ジャヤに住むヤカイ族は、少年とこのような精液提供者のカップルをそのものズバリ、「尻穴親子」と呼んだそうです。

「尻穴親」になった男は、「尻穴子」になった少年と性交して精液を伝達するだけでなく、「メンター」として少年の相談相手にもなり、少年が一人前の男に成長して精液の注入を必要としなくなったあとも、義理の親子あるいは義兄弟としての親密な関係が続いたといわれています。

三番目のパターンは、上記2つの混合パターンで、イニシエーションの期間中は「男の家」に滞在して、不特定多数の男たちと関係をもち、イニシエーションが終わると、特定の年長者と「尻穴親子」の関係になって、その男とだけセックスするというものです。

いずれにせよ、これらの部族では少年と年上の男性との男同士のセックスは、欧米キリスト教圏のように禁止されるどころか、奨励され、イニシエーションの儀式として制度化され、部族の男性すべてが行なっていたのです。

ただし、現代のホモやゲイと異なる点は、このような男同士のセックスの習慣が女性との性関係を排除せず、それを補完する形で存在したことです。

そもそも少年の体内に精液を注入するのは、将来、少年がオトナになって女性とセックスしたときに、体内に蓄積した精液を使って女性を妊娠させられるようにするためで、その究極の目的は子孫を増やし、部族の生存を保障することにあるわけです。

ただ、これとは矛盾するようですが、精液伝達を目的とする儀礼的な男同士のセックスの習慣をもつ部族には一般的にいって、女性を穢れた存在とみなす「女嫌い」の傾向がみられ、

またこのような習慣は首狩りなどを行なう勇敢な戦士として知られる部族の間で特に多くみられたという事実があります。

この「女嫌い」、「男同士のセックスの習慣」、「勇敢な戦士」という一連のキーワードから連想されるのは我がニッポンのサムライです。

日本の戦国時代から江戸時代の初期にかけて武士階級の間で男色が流行したことはよく知られていますが、この時代、武士の家に生まれた少年が年長の武士と義兄弟と呼ばれる男色関係をもつのはごく一般的にみられる、ほとんど制度化された習俗でした。

このような義兄弟の関係は少年の家族にも公認されるフォーマルな関係で、少年の父親がこれはと思う青年を見込んで自分の息子の兄分になってくれるように頼むことも珍しくなかったといいます。

このような少年と男色関係をもつ武士には女嫌いの傾向が強くみられ、周囲が結婚を勧めてもなかなか結婚しようとせず、40過ぎになってようやく子供を作るために結婚するというケースが多かったそうです。

また民族学者の赤松啓介氏によると、男色が盛んであった九州地方では、少年がフンドシを締めて成人男子の仲間入りをする「フンドシ祝い」で、熟年の男や壮年の男が「フンドシ親」となり、

少年にフンドシを贈った夜に少年と性関係をもち、義理の親子になる習慣があったそうです。

これなんか、まさに前述したニューギニアの部族でみられる「尻穴親子」の関係そのものです。

さらにかつての日本では、西日本を中心に「フンドシ祝い」を終えた少年が「若衆宿」に入って、年上の若者と寝起きをともにしながら、一人前の男になるための実地の教育・訓練を受ける風習が存在しました。

薩摩地方ではこの若衆宿のことを「郷中」と呼び、郷中のメンバーは7歳から
14、5歳までの「稚児」(ちご)と呼ばれる元服前の少年と、

14、5歳から24、5歳までの「二才」(にせ)と呼ばれる元服してから妻帯するまでの若者の二つのグループで構成され、稚児と二才は男色関係を通じて強い絆で結ばれていたといいます。

この「若衆宿」の制度は、ニューギニアの部族の少年が通過儀礼のために入る「男の家」によく似ていますが、若衆宿が西日本に普及していた事実からみて、この若衆宿の制度がニューギニアなど南太平洋の島々から日本に伝わった可能性は十分に考えられます。

このようにみてくると、ニューギニアの首狩り族と我々日本人は文化的にはけっこう近い関係にあるように思えます。

現在では、このニューギニアを中心にしたメラネシアの精液伝達の通過儀礼は、この地域の植民地化とそれに続く近代化によって、ほとんど消滅してしまったそうです。

この「悪習」を根絶するために一番、精力的に働いたのは、容易に想像できることですが、欧米人のキリスト教宣教師だったそうです。

彼らは原住民をキリスト教に改宗させて、同性愛は神の教えに反する罪深い行為であると吹き込んだのです。

また植民地の行政官も、乱交による性病の蔓延を防止するという公衆衛生上の見地から、このような儀式を行なうことを禁止したといわれています。

さらに近代化が進んで、村の若者が町に出稼ぎにでて現金収入を得るようになると、伝統的な自給自足の村落共同体の秩序が崩壊し、村の「成熟したオトナ」の権威が薄れ、それに伴ってイニシエーションの儀式も徐々に衰退していったそうです。

それでも、かつての「伝統」のせいで、現在でも、メラネシアではホモセックスの習慣は社会に浸透していて、日常的に行なわれているといいます。

この稿を書く参考にロンリー・プラネット社のガイドブック、「パプア・ニューギニア編」を読んだところ、「最近、奥地を一人旅する白人の男性旅行者がレイプされる事件が頻発しているので注意をするように」と警戒を呼びかけていました!

参照文献:
Ritualized Homosexuality in Melanesia edited by Gilbert H. Herdt
武士道とエロス、氏家幹人

2012.10.11 Thu

韓国で、あるバラエティ番組が放送初回にして一部視聴者らの抗議を受け、2回目以降の放送中止を余儀なくされ波紋を広げている。その番組とは、韓国の公共放送KBSのケーブル・衛星専門局KBS Nのバラエティ専門チャンネルKBS Joyが9月6日の深夜12時20分、韓国初の「トランスジェンダー・トークショー」として鳴り物入りでスタートさせた『XY彼女』だ。

「鳴り物入り」と書いたように、新番組『XY彼女』は放送前から注目を集めていた。同番組を含めバラエティ番組の司会で週5本のレギュラーを抱え、歯切れのいいトークで人気、実力ともにトップクラスの大物タレントであるシン・ドンヨプ、2000年に同性愛者であることをカミングアウトしたタレントで俳優のホン・ソクチョンらを司会に据え、「男性の生も知り女性の痛みも知るトランスジェンダーが、男女間の微妙な視覚の違いによって生まれる多様な悩みをテーマに、率直なトークを繰り広げる新感覚のトークショー」として企画された。

放送前の記者会見でシン・ドンヨプは「普段からセクシュアル・マイノリティの問題に関心があった。トランスジェンダーに対する偏見を解消するうえで手助けになるよう努力したい」と語り、ホン・ソクチョンは「同じセクシュアル・マイノリティの立場からトランスジェンダーとより深くコミュニケーションし、ホットでリアルなトークをお届けしたい」と抱負を述べ、期待を集めていた。この2人は以前から友人であり、シン・ドンヨプはホン・ソクチョンの苦労を知る仲でもある。こうした出演陣の意気込みの一方で、保守的な保護者団体、教育者団体、宗教団体が放送中止を強く要求し、局の視聴者掲示板にも反発の声が集まっていたのも事実だった。

そもそも筆者は韓国のメディアやエンターテインメント業界についての専門家ではないが、なかば趣味と若干の研究上の興味もあって韓国芸能をウォッチしていることから今回の件についても気になっていた。それを知った編集部の方からこの原稿の依頼を受けたのだが、事実関係を紹介するだけでも十分な意義があると思い、引き受けることにした。

17人のMtFが自己を語る

では初回の放送は、どのような内容だったのか。深夜枠のバラエティだと聞いていたので日本でよく見るようなそれを想像していた筆者は、冒頭で正直面食らった(ちなみにKBSは受信料を取る公共放送といってもCMがあり、放送内容もNHKのように「お堅い」雰囲気ではなく他の民放と大差ない)。なんとオープニングは、国連の潘基文事務総長が今年3月7日に行った、世界中の国々に同性間の性行為の合法化とLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)への差別をなくすように呼びかけたスピーチの抜粋から始まったのだ。

「すべてのLGBTに言いたいことがあります。あなたは1人ではありません」
「暴力と差別を終わらせるためのたたかいは、われわれみながともにすべきたたかいです」
「今日、私はあなたたちの側に立ちます」
「われわれは必ず暴力に打ち勝ち、差別を禁止し、大衆を教育しなければなりません」
「今、そのときが来ました」

(以上、番組テロップより筆者訳。ただし、「LGBT」は英語の原文に従った。番組テロップ直訳だと「トランスジェンダー」)

一度、スタジオに移って司会のホン・ソクチョンが華々しく番組のスタートを告げ、仮面舞踏会風の目を隠す仮面をつけてひな壇に座る17人のMtF(*1) トランスジェンダーを映し出したあと、世界のセクシュアル・マイノリティ人口が推計1億2千人以上であるというデータを示したうえで、弟と共同で映画『マトリックス』シリーズの監督を務めたことで知られ、最近、性別適合手術を行い女性として公の場に登場し話題になったラナ・ウォシャウスキーさん、東京・世田谷区の上川あや区議など、世界各国で活躍するトランスジェンダーについての短い紹介が続く。

さらに、韓国国内のトランスジェンダー人口が2万5千人と推定されることに触れ、90年代に性別適合手術を行い2002年に韓国で初めて戸籍上の性別変更が認められた、韓国初のトランスジェンダー芸能人として有名なタレント・歌手のハリスが紹介され、「世間の偏見とたたかってきた世界のトランスジェンダーたち」「偏見の壁を打ち破る韓国のトランスジェンダーたちのトークが始まる」というテロップ、ナレーションで再びスタジオに戻る。

スタジオのセットや番組の構成は、日本の番組に例えれば、『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系列)のような雰囲気と言えばわかってもらえるだろうか。司会は前述の2人にモデル出身の若手の男性タレントを加えた3人。前半は、新番組の初回とあってまずは17人ひとりひとりがタレントで言えば誰に似ているかをお題に、仮面を取りながらの自己紹介トーク。

後半は、「50人の女性と付き合ってきたが、まだ初恋をしていない気がする」という20代男性の相談に答えるというスタイルで番組は進行した。トークは当然ながら、自然に各自のこれまでの恋愛経験から人生全般について語る流れになり、性的なアイデンティティの自覚、恋愛、家族や周囲との関係、海外での性別適合手術等における葛藤や失敗談を含む、MtFトランスジェンダーと言えども一様ではない多様な経験、また韓国における偏見の強さや被差別の体験等についても率直に語られた。

(*1)身体を基準に付与された生物学的な性別(セックス)が男性で、性自認(ジェンダー・アイデンティティ)が女性

制作側の配慮

こうしたトークの過程で印象的だったのは、多少異なった経験はしているものの彼女たちも恋愛や家族のことで悩む「普通の人」であるという立場に立っていること、同時に基本的にはトランスジェンダーについてはもちろん、セクシュアル・マイノリティについての「正しい」知識と理解を広めようと制作側が心がけていることがうかがえたことだ。「いじる」ことで笑いを取ろうとすることはほとんどなく、基本的に無知を自覚したうえで違いを尊重して学び、理解と共感を広げようという姿勢、そのために番組に登場してくれた彼女たちを尊重しようという姿勢で一貫しているように見えた。

たとえば、司会者で同性愛者のホン・ソクチョンが、自分は男性が好きなだけで女性になりたいわけではないと、誤解されがちなMtFトランスジェンダーとゲイの違いについてさらっと説明すると、シン・ドンヨプが「誤解はよく知らないところから始まる。年配の方などは慣れていないから不快に思ったり受け入れるのが難しい部分もあるかもしれないが、正しく知ることが大事。だからこうした話をたくさん聞かせてほしい」と出演者に投げる。

するとある出演者が、「男が好きなのはホン・ソクチョンさんと同じだけど、それはただ生まれたときから女だったから。トランスジェンダーになりたくて手術したのではなく女になりたくて手術をした。恋愛対象が男性で男性の姿のままのホン・ソクチョンさんのような方とはそこが違う」と応じる。

やはり、「なぜうちの息子だけが、うちの娘だけが、何が足りなくて……と嘆いて、説教したり治療すれば『治る』と思う親御さんが少なくないが、そうではない。もともと自然な性向なのだ。強制しても子どもが不幸になるだけ」といった話を随時はさむなど、セクシュアル・マイノリティ当事者であるホン・ソクチョンが司会陣にいることが効いている。

さらにある出演者が「女として生きようと思ったとき、ハリスさんのようになりたくてもなれない、トランスジェンダーはみな美人じゃないといけないのかと悩んだ。でも、女の人の中にもきれいな人もいれば普通の人もいるし、太った人もいる。私はただの太った女でいいんだと思えるようになった」と語り、MtFトランスジェンダーへの視線はもちろん、当事者の中にもある「女性の美」についての固定観念に異議をとなえる場面や、この番組自体が「韓国初のトランスジェンダー・トークショー」と銘打ちつつも、出演者がMtFばかりであることへの配慮でもあろう、シン・ドンヨプが、1991年に韓国で初の女性から男性への性別適合手術が行われて以降、MtFとFtM (*2)の比率がほぼ同等になったという事実を紹介しながらFtMについての話題をふって、トランスジェンダーといえばMtFばかりだと思われがちな誤解を解こうとする場面など、バラエティの枠内での努力がうかがえる場面は少なくなかった。

トーク終了後、番組の最後は、民主統合党のチン・ソンミ国会議員(民主社会のための弁護士の会女性人権委員会委員長)が、セクシュアル・マイノリティのおかれた状況について理解、共有する出発点となって社会に変化をもたらすことに期待を寄せつつ、番組の門出を祝うメッセージVTRだった。

(*2)身体を基準に付与された生物学的な性別が女性で、性自認(ジェンダー・アイデンティティ)が男性

保守団体から抗議が殺到

番組内容についての芸能メディアの反応はおおむね好評だったようだが、「抗議」の声は放送後もやまなかった。

報道によると、「真の教育母親全国集会」「国を愛する学父母会」「正しい教育教授連合」「ESTHER祈祷運動」などの237の保守的な教育者・市民・宗教団体は「トランスジェンダー・性転換者を喧伝するKBS反対国民連合」を結成。「同性愛者のホン・ソクチョン氏を司会に据えトランスジェンダーを大挙出演させ男女の心理を扱うのは、青少年の性的アイデンティティに混乱を与える」「トランスジェンダーと同性愛がメディアを通じて青少年に拡散されたら社会問題を引き起こす」として、放送前から繰り返し放送中止を要求してきた。

3日には有力日刊紙に全面広告を出し、放送当日の6日には、KBS本社正門前とKBS Joy正門前で記者会見を行い、(1)KBS視聴料納付拒否運動(2)KBS視聴拒否運動(3)KBSキム・インギュ社長、KBS Joyキム・ヨングク社長の退陣要求運動――を内容とする「1千万学父母・教育者・国民署名運動」を展開すると明らかにした。第2回目の放送を翌日に控えた13日にも再びKBSとKBS Nの前で反対集会と記者会見を開いた。

この団体の主張は、ある会員のものとして報じられた次のような発言に集約されているだろう。

「最近、社会で頻繁に起きている幼児性暴行などの犯罪は、性的な刺激につねにさらされている人々を中心に引き起こされている。国民情緒を純化し、明るい社会を作ることに貢献すべき公共放送が、倫理道徳的に正しい基準を提示できず、20人の性転換者と同性愛者ホン・ソクチョン氏を国民的司会者シン・ドンヨプ氏とともに出演させ、『非正常的な性的状況』を放送メディア上で美化するのは、児童生徒たちの正しい性意識を歪ませるだけでなく、子どもたちの将来に致命的な悪影響と一生の不幸をもたらしかねない」。

こうした主張の是非についてここで説明する必要はないだろう。日本で暮らす私たちにも見慣れた、世界中のどこにでもよくあるような、非科学的で偏見に満ちた思い込みだ。

こうした向きにとっては、傘下のケーブル局とはいえ同番組が公共放送であるKBS系列であったこと、また子どもに人気のあるファミリー向け番組にも多数出演している国民的司会者シン・ドンヨプが司会を引き受けたことも気に入らなかったらしい。同局の掲示板はもちろん、彼が出演する他局の掲示板にまで抗議の声が飛び火している(同時に、それをいさめる声も投稿されているのだが)。

もしかすると、このように一部の保守的な団体が騒ぐというのは制作側にとっても想定内だったかもしれないが、こうした「公の抗議の声」は、韓国社会にいまだ根強いホモフォビア、トランスフォビア、セクシュアル・マイノリティに対する差別意識を後押しした。局の掲示板には番組出演者に対する脅迫まがいのヘイトスピーチがあふれ、局には非難のメールや電話が殺到したという。

韓国社会の現状を憂える声

結局2回目の放送を翌日に控えた13日になり、同番組を放送したKBS Joyを運営するKBS Nが公式サイトを通じ、「6日に初放送されたKBS Joyの自社制作番組、『XY彼女』に対する視聴者の皆様の意見を受け入れ、しばらくの間、放送を保留することが決まりました。視聴者の皆様の愛情のこもる関心と助言に感謝いたします」と公示を出した。毎週木曜深夜の予定で始まり4回分まで収録を終えていたが、10月1日現在、番組は再開されておらず、今後についての公式なコメントはない。報道によるとKBS Nの関係者は「視聴者の反発を考慮した決定」で、「放送再開の時期は決まっていない」と説明したという。

この決定に対し抗議している団体はなおも、保留ではなく番組の完全な打ち切りを求めているが、放送を見た視聴者からは、中止を惜しんだり、中止すべきではなかったとの声も上がっている。局の視聴者掲示板への書き込みも打ち切り要求と放送再開要求で二分されているが、当初より、日を追うごとに応援のメッセージが増えているように見える。

こうした中、番組にも出演していたチン・ソンミ議員をはじめ最大野党である民主統合党の国会議員7人は14日、KBS Joyの放送保留決定を糾弾する声明を発表した。声明は、「放送法によって保障された放送の多様性保障と少数者に対する差別禁止に反し、普遍的人権を守るべき公共放送としての責務を放棄したもの」と指摘、「不当な放送保留決定を取り消し、勇気を出して番組に出演したトランスジェンダーの出演者たちとセクシュアル・マイノリティの視聴者たちに謝罪せよ」と主張した。

議員らの意見は、「トランスジェンダーや同性愛者が精神病や非正常ではないということは、医学的、社会学的に常識化された主張である。現代ではむしろセクシュアル・マイノリティに対する極端なヘイト(憎悪)が社会的に危険なものとみなされている。

またメディアを通じた性的アイデンティティに関する情報の取得は、セクシュアル・マイノリティの青少年にとっては自身のアイデンティティを受け入れ、安定した生活をしていくうえでの一助となり、異性愛者にとっても社会的な多様性を学ぶ機会を提供する」というものであり、「『XY彼女』の放送保留決定は、私たちの社会の多様性と人権を保障すべき公営放送としての責務の放棄に他ならない。一部の極端な反対世論だけで放送を中止するのならば、人権に対する苦悩もなくただネタだけのためにトランスジェンダーの勇気を利用したのだと自ら認めることになる。『XY彼女』を企画した本来の勇気を最後まで通し、社会的偏見より普遍的人権を追求する放送になってくれるよう願う」と要望した(NEWSis 9月14日付)。

また同性愛者の団体「ゲイ有権者パーティ」は25日、「保守団体の殺気立った脅迫に放送出演者たちが恐怖を感じている」として、「今週中にソウル地方警察庁に放送に出演したトランスジェンダー10余人に対する身辺保護を要請する」と明らかにした。

先の民主統合党議員の放送中止糾弾声明に対する回答でKBS Nは、「日刊紙に全面広告を掲載するほどに資金力と組織力を持つ団体であり、今後も抗議の度合いを強めてくる可能性が高い」とし、「番組の司会者、出演者を保護するため、放送の保留という困難な決断を下した」と説明したが、実際に一部の保守団体関係者がKBSに電話をかけ「番組の司会を務めるシン・ドンヨプを(業界から)抹殺する」という脅迫をかけているとも伝えられている。「ゲイ有権者パーティ」のイ・インソプ事務局長は「韓国が人権先進国になるためには、今回の保守団体に見られるような反人権的、差別的な社会的雰囲気を改善しなくてはならない」と述べた(聯合ニュース 9月25日付)。

映画監督で、2006年に自身が同性愛者であることをカミングアウトしているキム・ジョ・グァンスさんは13日、ツイッターに「KBS Joyで放送された『XY彼女』が、名ばかりは教育がどうのこうのというホモフォビア団体の圧力で中止に追い込まれたという。『トランスジェンダーを喧伝する…』だなんて、彼らはいまだLGBTを病気扱いしている様子。怒りレベル上昇中」と書き込み怒りをあらわにした。

また実際に番組に出演していたMtFトランスジェンダーのポポさんは14日、自身のブログで保守団体の主張について次のように反論した。

「私たちは生まれつきこのようなジェンダー・アイデンティティを持って生まれてきました。お宅のお子さんが異性愛者の指向を持って生まれたり、例えばもろもろの生まれつきの障害があるように、私はそのように生まれたのです。私たちはお宅のお子さんたちに私たちを特別視したり、好きになってくれるよう望んでいるわけではありません。ただ、私の個人的な考えですが、私が小さかった頃、うちの両親は、貧しかったり、かわいそうな境遇にあったり、障害があったりする友達を、苦しめたり傷つけてはいけない、あたたかく接してあげるようと、そう教えられてきました。私は両親の教えに従って、学校で様々な友達と分け隔てなく仲良くするように、そう努めてきました。お宅ではどのような教育をしているのでしょうか…」

「こんな文章を書きながら胸が痛むし、トランスジェンダーを悪く言う方々が憎らしいです。泣きながら書いているので何を書いているのかよくわからなくなっていますが、『XY彼女』が放送されたとき、私は本当にうれしかった。社会でごく少数の人々も認められる日が来たのだと思って、うきうきして、うれしい日でした。でも、本当に悲しいです…」

彼女のみならず、番組出演者らの気持ちを思うと胸が痛む。こうした当事者だけでなく、ネットニュースのコラムや個人のブログ等でも、番組に好意的で、中止を惜しみ、偏見が根強い韓国社会の現状を憂える声が多く見られている。

過去の類似騒動

『XY彼女』の司会も務めたタレント・俳優のホン・ソクチョンが同性愛者であることをカミングアウトしてから12年、トランスジェンダーのタレント・歌手のハリスは今年デビュー11周年を迎えたが、その道のりは決して平たんじゃなかった。とくに、それまでシットコム や子ども番組の司会などで人気だったホン・ソクチョンは番組でのカミングアウト後、すべてのテレビ番組を降板する憂き目にあった。

それからしばらくはテレビの仕事を失ったが、3年後にテレビドラマで復帰、現在はミュージカル等で活躍しながらセクシュアル・マイノリティの人権団体の活動や講演なども行い、テレビのトーク番組等でも積極的に啓蒙に努めている。

『XY彼女』の放送開始前にはメディアに対し、「私がカミングアウトをして騒動になってから12年後の今、私を見て、同性愛者に対する視線が以前より柔らかいものになったと感じるのならば、(トランスジェンダーをはじめセクシュアル・マイノリティの)話に耳を傾ける余裕が社会に生まれたということではないだろうか。リラックスしたショーになるだろう。憂慮すべき要素はないと思う」と語っていたのだが(イーデイリー スターin 9月4日付)、放送中止になった今、その胸中はいかばかりだろうか。

昨年放送された、主人公がレズビアンという設定のKBS 2TVのドラマスペシャル『クラブビリティスの娘たち』は、放送後、やはり反発する一部の強い声に押されてネット上のオンデマンド放送が取り消された。また男性同士の同性愛を取り上げ名作と名高いSBSの連続ドラマ『人生は美しい』(2010年)に対しては、放送中止を求める団体の抗議活動が放送後1年以上も続いたという。

『人生は美しい』のチーフ・プロデューサーだったキム・ヨンソプSBSドラマ特別企画総括局長は今回の事態を受け、「『人生は美しい』がマイノリティに対する人々の視線を多少なりとも改善するうえで役割を果たせたと自負はしているが、当時においても反感は強かった。若い世代の思考は大きく変化しているが、既存の40~50代の思考は簡単に変わらない。正しい価値ならば大衆の情緒より放送が一歩先に進むことができると考えてはいるが、最近は全般的な社会の雰囲気として保守的な傾向が強まっているように思う」と語った。

また『XY彼女』のイム・ヨンヒョンプロデューサーは、「これまで、トランスジェンダーや同性愛者にスポットを当てた番組はマイノリティの特異性と笑いという要素からアプローチしていた側面が大きかったが、今回、私たちは一般人と同じ位置において見ようとした。それによって一部の視聴者の拒否感がより強くなったようだ」(以上、PDジャーナル 9月18日付)、「今回のような反発は、私たちの社会の閉鎖的で排他的な面を示しているだろう」(聯合ニュース9月23日付)などと述べている。

変革への意志、支持する世論

日韓のセクシュアル・マイノリティの現状全般について比較するのは筆者の手に余るので、参考までに関連する一事例だけに触れておこう。

日本では2004年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者については、家庭裁判所の審判により法令上および戸籍上の性別を変更できるようになった。

一方の韓国では、それまで各裁判部で判断基準が異なっていたが(前述したタレントのハリスは2002年に、韓国で初めて仁川地裁が性別変更を認めた)、2006年に最高裁判所がトランスジェンダーの戸籍変更を認める決定を下した。

決定文は「性の概念は生物学的要素と社会・心理学的要素をともに考慮しなければならない」とし、「外観だけでなく、社会的領域で反対の性で活動するトランスジェンダーの場合、人間らしい生活をする権利を認められなければならない」と明らかにした。こうして最高裁が判例を作った意義、インパクトは大きかったが、たった6年前のことでもある。それも儒教の影響が強く、性的な面においてもとより日本以上に保守的な韓国社会において、だ。

政治性や社会性を商業性とうまく融合させることで、世界に通じるわかりやすいエンターテインメント性を獲得するとともに社会を変えうる訴求力を持つ作品作りは、80年代の民主化闘争に参加した学生運動世代が作り手として台頭し、世界で頭角を現すようになった2000年代以降の韓国映画のひとつの特徴でもある。例えば最近では、聾学校で実際に起きた性的暴行事件をもとにした映画『トガニ』(2011年、現在日本公開中)が、事件の再捜査だけでなく「トガニ法」と呼ばれる子どもや障がい者への性暴力の時効廃止と厳罰化をはかる法改正をうながした。

こうした姿勢は、報道番組はもちろん、ドラマやバラエティなどテレビのエンターテインメント番組にも共通する。日本で話題になることはそう多くないが光州事件を真正面から描いた『砂時計』(1995年、SBS)など社会派のドラマは少なくない。「ポリティカル・コレクトネス」を正面に掲げ、メディアが社会変革に果たせる役割を(いまだ)信じ、それを実践しようとする気持ちが作り手側の根底にあるのだろう。前述した『人生は美しい』や『XY彼女』のプロデューサーの言葉にもそうした思いはにじむ。

今回の反発や抗議活動にも見られたように変化が急速であるゆえだろうか社会の抵抗も根強いが、変革への意思や支持する世論も今のところそれに負けずに強いように見える。今回の件の経緯を見守りつつ、まだまだ困難や挫折もあるだろうが、今後もエンターテインメントにおいてこのようなチャレンジが続くことに期待したい。

2012.10.16 TUE

カリフォルニアは、アメリカの州で初めて、ゲイの人々をヘテロセクシュアルに転向させようとする精神治療を追放した。矯正論の支持者はどのような人々か? 科学の見解はどのようなものだろうか?

レズ画像

未成年のホモセクシュアルを「転向」させようとすることは、犯罪となる。少なくともカリフォルニアでは。カリフォルニア州は、ゲイをヘテロセクシュアルに転向させることを目的とする、いわゆる「性的指向の回復療法」を禁止するアメリカ最初の州となった。

州知事のジェリー・ブラウンが署名した法律は、とりわけ、家族によってこのような精神分析的処置を受けさせられる多くの児童や少年の保護を意図している。

このような処置に対して、科学は非常に明確な立場を取っている。過去50年の研究文献の非常に莫大なメタ分析が証明していて、アメリカ心理学協会(American Psychological Association: APA)のリポートで強調されているように、性的指向が自発的に変えられるという明白な証拠はなく、こうした処置に効果があることも証明されていない。

むしろ、場合によっては有害となりうる。事実、しばしば起こる「回復療法」の失敗が、自尊心の喪失やストレス、罪悪感、鬱、自殺する傾向の増加を引き起こす可能性がある。こうした理由から、APAは(そしてAPAに協力する精神科医や心理療法士の科学コミュニティは)、「回復療法」の実践を行わないよう呼びかけている。

カリフォルニア州の決定は、おそらく何かが変わりつつあるしるしだ。そしてひとつだけではない。アメリカの精神科医ロバート・シュピッツァーは、同性愛「回復療法」の旗手のひとりだったが、 数カ月前に誤りを認めた。

「わたしは自分の研究についてゲイ・コミュニティに許しを請わなければならない。とりわけ、治療の有効性が証明されなかったことが理由である。治療によって時間とエネルギーを浪費したホモセクシュアルの人々にも謝罪したい」

彼は性科学学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載される予定の手紙でこのように書いた。彼が2001年に「回復療法」についての衝撃的な研究を発表したのと同じ雑誌だ。アラン・チェンバースまでが、すべて間違っていたことを認めた。彼は、治療されたとされる元ゲイの人々の協会であるExodus Internationalの会長だ。

同性愛者を「転向」させようという試みは、少なくとも19世紀末までさかのぼる。1892年に、アメリカの神経病学者グレアム・M・ハモンドは、同性愛者を転向させるために長い時間サイクリングするように指示している。のちに最も普及したアプローチは、時には催眠やアルコールの助けを借りながら、強制的に異性との関係をもつこととなった。1960年代末以降は、嫌悪に基づく心理=行動学的モデルが定着した。つまり、同性の性的なイメージにネガティヴな刺激を、異性のイメージにポジティヴな刺激を関連づけることによって、患者に「逸脱」をやめさせようとするのだ。

祈りまで用いて自身の潜在的な異性愛を発展させようとする心理療法的アプローチも存在する。しかし、方法がどのようなものであれ、出発の仮定が間違っている。

「転向」させるべきことは存在しない。1973年以降、同性愛はDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の診断と統計の手引き)から除かれている。WHO(世界保健機関)によれば、同性愛は「人間の性欲の自然なヴァリエーション」だ。

「回復療法」の普及は、特にアメリカにおいては超保守的なタイプの政治・宗教運動と結びついている。恐らく、最も容赦ない「ゲイ矯正」の支持者は、世界に約1,000人の会員がいるアメリカ同性愛研究・治療協会(National Association for Research and Therapy of Homosexualitiy: NARTH)の創設者ジョゼフ・ニコロージだ。

ニコロージは、あらゆる科学的証拠に反対して、同性愛は「矯正が可能な精神障害」で、「性同一性の失敗」「個人の本当の同一性に反している」と考えている人物だ。

2010年に、彼はイタリアで「性同一性と自由」という会議に招待された。組織した団体のなかには、「ブレーシャ・カトリック医師会」と医療従事者の協会「医学と人」もあった。科学界は、実質的に満場一致で抗議した。

心理学者協会の会長は、1,200人の署名とともに「回復療法」を非難する公式声明を発表した。これは次のように締めくくられる。「患者が固有の性的指向を変えるように導くことを目的としたあらゆる処置は、わたしたちの職業を成り立たせている倫理的・科学的精神の埒外にあることを力を込めて明言することは、わたしたちの義務であり、関連する機関と職能団体に注意を促さなければならない」。

しかし、イタリアで「回復療法」を提案しているのは誰だろうか?普及はしていないけれど、時にキリスト教団体によって支持されており、彼らは助言を与え、講演会や、精神療法のセッションや、セミナーを開いている。

このようなコースがどのように機能するかを、日刊紙『Liberazione』のジャーナリストが数年前に語った。彼はゲイのふりをして6カ月間「治療」を受けた。彼の記事は蜂の巣をつついたような議論と反応を引き起こした。

性的指向を変えようとすることは、馬鹿げているだけでなく、逆効果だ。しかし、いまだにゲイに対して差別的な社会では、同性愛を受け入れ、同性愛者たちがカミングアウトすることが困難な状況が続いている。突飛な「回復療法」はもってのほかだ。差し伸べることのできる最も大きな助けは、同性愛嫌悪と闘うことだ。

WIRED NEWS 原文(Italian)

クリス・ヒューズ

クリスヒューズ
友人はザッカーバーグとオバマ大統領!?

2004年、ザッカーバーグらとフェイスブックを創設したヒューズは、08年のオバマの大統領選ではSNSキャンペーン責任者を務めている。昨年、同性婚啓発団体「Freedom To Marry」で活躍中のショーン・エルトリッジと結婚した。

ティム・クック

ティム・クック
強さと慎重さを兼ね備えた“シリコンバレーの顔”

米国のゲイ雑誌「アウト」は、彼を“いま地球上で最も影響力を持つゲイ”としている。ただし、シリコンバレーでは公然の秘密とされているものの、彼自身はセクシュアリティについて明言することを慎重に避けている。

アンダーソン・クーパー

アンダーソン・クーパー
これぞパーフェクト・パワー・ゲイ!

CNNの人気報道番組『アンダーソン・クーパー360°』に出演中の彼は、米国の鉄道王コーネリアス・ヴァンダービルトの子孫にあたる人物。米誌「アウト」は以前から「影響力の強いゲイ」として紹介していたが、彼自身は、昨年7月になってカミングアウトした。

トム・フォード

トム・フォード
ついにパパになりました!

自身の名を冠したブランドを展開する一方で、09年には映画『シングルマン』で監督デビューを果たしたフォード。昨年9月には24年来のパートナーとのあいだに、代理母出産と見られる息子をもうけている。

エリオ・ディルポ

エリオ・ディルポ
史上3人目の“カミングアウト首相”

2011年より現職を務めているディルポは、96年に報道陣から同性愛者かどうかを尋ねられ、「Yes, so what?(そうですが何か?)」と答えた。以来、他のゲイの政治家たちの模範となっている。

ボリス・ディートリッヒ

ボリス・ディートリッヒ
世界で初めて“同性婚”を可能にした男

元オランダ国会議員。同性婚や安楽死、売春やマリファナの合法化といった法案を発案し、可決させている。2007年より、人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチにて、同性愛者らの権利向上活動を行っている。

ブライアン・グレイデン

ブライアン・グレイデン
ゲイ専門チャンネル「Logo」の立て役者

米MTVの人気番組『オズボーンズ』や『ジャッカス』のブレーンを務め、『サウスパーク』の制作にも携わってきたグレイデンは、2005年、満を持して、米国初となるゲイ専門チャンネルLogo(ロゴ)を立ち上げた。

スティーヴン・フライ

スティーヴン・フライ
英国きっての知性派俳優

英国人なら誰もが知っている大物知性派俳優で、作家、ジャーナリスト、映画監督としても活躍している。フライは自分が“90%程度のゲイ”だと考えているという。ツイッターのフォロワーは約530万人にも上る。

マンヴェンドラ・シン・ゴーヒル

マンヴェンドラ・シン・ゴーヒル
差別と戦う“ゲイの王子さま”

インドのラジピプラ地方の王子である彼は、2006年、世界の王族のなかで初めてカミングアウトした人物となった。その後、王族を追放されそうになりながらも、同国内でHIV啓発活動などを積極的に行いつづけている。

エルトン・ジョン

エルトン・ジョン
第2子誕生で同性婚生活も安泰 “オープン・ゲイ能人”の鑑

2005年に英国でいち早く同性婚を果たし、最近第2子も誕生したポップス界の王様。シングルとアルバムの累計セールスは2億5000万枚以上。推定資産は約1億ポンド(約140億円)。

2013.03.13(水)

ドイツでは、2001年、SPD(ドイツ社民党)と緑の党の連立政権時代、同性愛のカップルが結婚できるようになった。それ以来、同性カップルは、まだ完全には“夫婦”と同格ではないが、“夫婦”に準ずるものとなり、その権利が大幅に強化された。

例えば、1人が病気になれば、もう片方は家族として医者の説明を受けられるし、また、1人が死亡すれば、残された相手は遺産の相続も可能になる。その他、さまざまな夫婦の義務と権利が、同性の夫婦にも備わったのである。

2010年、ドイツには、連邦統計局の資料によると、夫婦として登録して暮らしているゲイ、あるいはレズビアンのカップルが、2万3000組いるという。

市民権を得たドイツの同性カップルに残された、養子問題
ドイツで爆発的に急増中、同性同士の婚姻

ドイツでは、結婚したい男女は、役所にその旨を申し出て、出廷の時間、つまり、婚姻の日を決める。当日は、花嫁と花婿が、保証人2人他、親族、友人などを伴って役所へ出向き、担当の役人の質疑応答を経て結婚が認められ、めでたし、めでたしとなる。

花嫁と花婿は、たいていタキシードとウエディングドレスで着飾っており、結婚したての彼らはそのまま役所の前の広場などに繰り出し、シャンペンを開けて乾杯。午前中に役所の前を通ると、そういうおめでたい光景をよく見かける。

2001年からは、それと同じ光景が、男女ではなく、同性のカップルでも見られるようになった。当時、男女のカップルではなく、むくつけき大男が2人、役所の前で幸せいっぱいでキスをしている写真などが、よく新聞に載ったものだ。

しかし今では、それも珍しくもなく、ニュースにもならない。ゲイやレズビアンは、思ったよりもたくさん身近にいることも分かってきた。

なお、教会での挙式はというと、同性カップルの場合、カトリック教会では絶対に挙げてもらえない。教会での挙式に法律的な意味はないが、一部のカップルにとっては役所の結婚よりも大切なものだ。

だから、それを悲しく思う同性カップルはいるかもしれないが、カトリック教会は、同性愛どころか、再婚も認めていないのだからどうしようもない。

さて、そんなわけで、ほぼ市民権を得たドイツの同性カップルではあるが、法律的にはまだ従来の夫婦とすべてが平等なわけではない。一番大きな違いは、養子をとれないことだ。

同性愛者であることを息子に告白された米議員

[2013.3.18 15:53]

米共和党保守派のロブ・ポートマン上院議員(57)が、これまで強く反対してきた同性婚を容認すると表明した。息子に同性愛者であることを告白され、父親として2年間悩んだ末の結論という。銃規制や中絶の是非などと並び米世論を分断する社会問題に一石を投じた。

ポートマン氏はブッシュ前政権下で通商代表や行政管理予算局長を務め、昨年の大統領選では副大統領候補として名前が挙がった党内有力者。同性婚を許容する法案に対しては、一貫して反対票を投じてきた。

しかし地元オハイオ州の地元紙に、18日までに寄稿し「政府が同性愛者の結婚の機会を否定すべきではないと思うようになった」と吐露。エール大学に通う息子のウィルさんから同性愛者であることを告げられ、自分の信条と相いれないことに苦悩した経緯を記した。

先日、日刊ニュージーランドライフで【ニュージーランド 同性婚を認める法案が可決】というニュースをお知らせしました。

その法案を通す国会の中で同性婚賛成派のMaurice Williamsonが行ったスピーチが、なんて言うんでしょう、ニュージーランドらしさ全開、ニュージーランド人の良さを3倍濃縮還元したみたいなスピーチだったので、皆さんにもシェアしたいと思います。

字幕無しでは話を追っていくのは大変なので、厳密な翻訳ではないんですけど、いろいろ補足も入れながら意訳を書いてみました。

スピーチの簡単な訳

私の有権者の中に聖職者がいます。その聖職者が言うにはこの同性婚を認める法案が通ったその日から同性愛者たちによる猛攻撃が始まるそうです。

ところが私にはそれがどんな猛攻撃なのかわからず戸惑っています。

例えば同性愛者たちが大挙してPakaranga Highwayを攻めてくるのか、それともガスか何が押し寄せてきて聖職者や私たちを閉じ込めてしまうのでしょうか。

他にもカトリックの聖職者に「同性愛という不自然なものを支援している」と言われました。その意見、すごく興味深くないですか?だって、彼らは「一生独身で禁欲」の誓いを立てているんですよ?(それこそ不自然じゃないんですか?)

まぁ、私はそういうことしたことないのでよくわかりませんけど。

また別の人には私は永遠に地獄の業火で焼かれると言われました。

でも、それは大きな間違いです。私は物理学の学位を持っています。自分の体重や体内水分率などを熱力学の方式に当てはめて計算してみました。もし5000度の火で焼かれた場合、私の体は2.1秒しかもちません。これを「永遠」とはとても言えません。

ニュージーランドの国会で行われた、同性婚賛成派の素晴らしいスピーチ

養子縁組について酷い主張も聞きました。中には恥ずべき主張がありました。

私には3人の素晴らしい養子がいます。だから養子がいかに良いかを知っています。

大半の反対意見は、一般の方、この法案が通ることで起こってしまうかもしれないことを心配している人たちです。そういった心配や考慮を私は尊重しています。

彼らは自分たちの家族などに降りかかるかもしれない「何か」を心配しているんです。

繰り返し言わせてください。

今、私たちがやろうとしていることは「愛し合う二人に結婚を認めよう」としているだけです。たっだそれだけです。

外国に核戦争をしかけているわけではありません。農業を壊滅させるウイルスをバラ蒔こうとしているわけでもありません。

私たちの「愛し合うカップルを結婚させてあげる」という法案の何が間違ったことなのかわかりません。もちろん自分とは違う人を好きになれないのはわかります。それはかまいません。でも、なぜ反対する人がいるのかわかりません。

この法案に反対する人に言っておきます。

この法案が採決されたからと言って太陽は明日も昇ります。ティーンエイジャーの娘はそれでも、知った顔をして何でも反抗してきます。あなたの住宅ローンは増えたりしません。皮膚病にかかったり、布団の中にヒキガエルが現れたりしません。

この法案が採決されても、世界は何ごともなかったかのように回り続けます。

だから、この法案で大騒ぎするのは止めましょう。

この法案が通ることは、影響がある人に取っては素晴らしいものです。でも、そうでない人に取っては人生は何も変わったりしません。

 

個人的に思うこと

一般の方たちはどこか同性婚について「それは悪いこと」という認識があるようで、私も常日頃から歯がゆい思いをしています。

しかしMaurice Williamsonさんのこの演説は、その概念をスっと打ち破ってくれました。

「『愛し合うカップルを結婚させてあげる』という法案の何が間違ったことなのかわかりません。」「この法案が通ることは、影響がある人に取っては素晴らしいものです。でも、そうでない人に取っては人生は何も変わったりしません。」

まさにそのとおりだと思います。