2012.10.16 TUE

カリフォルニアは、アメリカの州で初めて、ゲイの人々をヘテロセクシュアルに転向させようとする精神治療を追放した。矯正論の支持者はどのような人々か? 科学の見解はどのようなものだろうか?

レズ画像

未成年のホモセクシュアルを「転向」させようとすることは、犯罪となる。少なくともカリフォルニアでは。カリフォルニア州は、ゲイをヘテロセクシュアルに転向させることを目的とする、いわゆる「性的指向の回復療法」を禁止するアメリカ最初の州となった。

州知事のジェリー・ブラウンが署名した法律は、とりわけ、家族によってこのような精神分析的処置を受けさせられる多くの児童や少年の保護を意図している。

このような処置に対して、科学は非常に明確な立場を取っている。過去50年の研究文献の非常に莫大なメタ分析が証明していて、アメリカ心理学協会(American Psychological Association: APA)のリポートで強調されているように、性的指向が自発的に変えられるという明白な証拠はなく、こうした処置に効果があることも証明されていない。

むしろ、場合によっては有害となりうる。事実、しばしば起こる「回復療法」の失敗が、自尊心の喪失やストレス、罪悪感、鬱、自殺する傾向の増加を引き起こす可能性がある。こうした理由から、APAは(そしてAPAに協力する精神科医や心理療法士の科学コミュニティは)、「回復療法」の実践を行わないよう呼びかけている。

カリフォルニア州の決定は、おそらく何かが変わりつつあるしるしだ。そしてひとつだけではない。アメリカの精神科医ロバート・シュピッツァーは、同性愛「回復療法」の旗手のひとりだったが、 数カ月前に誤りを認めた。

「わたしは自分の研究についてゲイ・コミュニティに許しを請わなければならない。とりわけ、治療の有効性が証明されなかったことが理由である。治療によって時間とエネルギーを浪費したホモセクシュアルの人々にも謝罪したい」

彼は性科学学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載される予定の手紙でこのように書いた。彼が2001年に「回復療法」についての衝撃的な研究を発表したのと同じ雑誌だ。アラン・チェンバースまでが、すべて間違っていたことを認めた。彼は、治療されたとされる元ゲイの人々の協会であるExodus Internationalの会長だ。

同性愛者を「転向」させようという試みは、少なくとも19世紀末までさかのぼる。1892年に、アメリカの神経病学者グレアム・M・ハモンドは、同性愛者を転向させるために長い時間サイクリングするように指示している。のちに最も普及したアプローチは、時には催眠やアルコールの助けを借りながら、強制的に異性との関係をもつこととなった。1960年代末以降は、嫌悪に基づく心理=行動学的モデルが定着した。つまり、同性の性的なイメージにネガティヴな刺激を、異性のイメージにポジティヴな刺激を関連づけることによって、患者に「逸脱」をやめさせようとするのだ。

祈りまで用いて自身の潜在的な異性愛を発展させようとする心理療法的アプローチも存在する。しかし、方法がどのようなものであれ、出発の仮定が間違っている。

「転向」させるべきことは存在しない。1973年以降、同性愛はDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の診断と統計の手引き)から除かれている。WHO(世界保健機関)によれば、同性愛は「人間の性欲の自然なヴァリエーション」だ。

「回復療法」の普及は、特にアメリカにおいては超保守的なタイプの政治・宗教運動と結びついている。恐らく、最も容赦ない「ゲイ矯正」の支持者は、世界に約1,000人の会員がいるアメリカ同性愛研究・治療協会(National Association for Research and Therapy of Homosexualitiy: NARTH)の創設者ジョゼフ・ニコロージだ。

ニコロージは、あらゆる科学的証拠に反対して、同性愛は「矯正が可能な精神障害」で、「性同一性の失敗」「個人の本当の同一性に反している」と考えている人物だ。

2010年に、彼はイタリアで「性同一性と自由」という会議に招待された。組織した団体のなかには、「ブレーシャ・カトリック医師会」と医療従事者の協会「医学と人」もあった。科学界は、実質的に満場一致で抗議した。

心理学者協会の会長は、1,200人の署名とともに「回復療法」を非難する公式声明を発表した。これは次のように締めくくられる。「患者が固有の性的指向を変えるように導くことを目的としたあらゆる処置は、わたしたちの職業を成り立たせている倫理的・科学的精神の埒外にあることを力を込めて明言することは、わたしたちの義務であり、関連する機関と職能団体に注意を促さなければならない」。

しかし、イタリアで「回復療法」を提案しているのは誰だろうか?普及はしていないけれど、時にキリスト教団体によって支持されており、彼らは助言を与え、講演会や、精神療法のセッションや、セミナーを開いている。

このようなコースがどのように機能するかを、日刊紙『Liberazione』のジャーナリストが数年前に語った。彼はゲイのふりをして6カ月間「治療」を受けた。彼の記事は蜂の巣をつついたような議論と反応を引き起こした。

性的指向を変えようとすることは、馬鹿げているだけでなく、逆効果だ。しかし、いまだにゲイに対して差別的な社会では、同性愛を受け入れ、同性愛者たちがカミングアウトすることが困難な状況が続いている。突飛な「回復療法」はもってのほかだ。差し伸べることのできる最も大きな助けは、同性愛嫌悪と闘うことだ。

WIRED NEWS 原文(Italian)

先日、日刊ニュージーランドライフで【ニュージーランド 同性婚を認める法案が可決】というニュースをお知らせしました。

その法案を通す国会の中で同性婚賛成派のMaurice Williamsonが行ったスピーチが、なんて言うんでしょう、ニュージーランドらしさ全開、ニュージーランド人の良さを3倍濃縮還元したみたいなスピーチだったので、皆さんにもシェアしたいと思います。

字幕無しでは話を追っていくのは大変なので、厳密な翻訳ではないんですけど、いろいろ補足も入れながら意訳を書いてみました。

スピーチの簡単な訳

私の有権者の中に聖職者がいます。その聖職者が言うにはこの同性婚を認める法案が通ったその日から同性愛者たちによる猛攻撃が始まるそうです。

ところが私にはそれがどんな猛攻撃なのかわからず戸惑っています。

例えば同性愛者たちが大挙してPakaranga Highwayを攻めてくるのか、それともガスか何が押し寄せてきて聖職者や私たちを閉じ込めてしまうのでしょうか。

他にもカトリックの聖職者に「同性愛という不自然なものを支援している」と言われました。その意見、すごく興味深くないですか?だって、彼らは「一生独身で禁欲」の誓いを立てているんですよ?(それこそ不自然じゃないんですか?)

まぁ、私はそういうことしたことないのでよくわかりませんけど。

また別の人には私は永遠に地獄の業火で焼かれると言われました。

でも、それは大きな間違いです。私は物理学の学位を持っています。自分の体重や体内水分率などを熱力学の方式に当てはめて計算してみました。もし5000度の火で焼かれた場合、私の体は2.1秒しかもちません。これを「永遠」とはとても言えません。

ニュージーランドの国会で行われた、同性婚賛成派の素晴らしいスピーチ

養子縁組について酷い主張も聞きました。中には恥ずべき主張がありました。

私には3人の素晴らしい養子がいます。だから養子がいかに良いかを知っています。

大半の反対意見は、一般の方、この法案が通ることで起こってしまうかもしれないことを心配している人たちです。そういった心配や考慮を私は尊重しています。

彼らは自分たちの家族などに降りかかるかもしれない「何か」を心配しているんです。

繰り返し言わせてください。

今、私たちがやろうとしていることは「愛し合う二人に結婚を認めよう」としているだけです。たっだそれだけです。

外国に核戦争をしかけているわけではありません。農業を壊滅させるウイルスをバラ蒔こうとしているわけでもありません。

私たちの「愛し合うカップルを結婚させてあげる」という法案の何が間違ったことなのかわかりません。もちろん自分とは違う人を好きになれないのはわかります。それはかまいません。でも、なぜ反対する人がいるのかわかりません。

この法案に反対する人に言っておきます。

この法案が採決されたからと言って太陽は明日も昇ります。ティーンエイジャーの娘はそれでも、知った顔をして何でも反抗してきます。あなたの住宅ローンは増えたりしません。皮膚病にかかったり、布団の中にヒキガエルが現れたりしません。

この法案が採決されても、世界は何ごともなかったかのように回り続けます。

だから、この法案で大騒ぎするのは止めましょう。

この法案が通ることは、影響がある人に取っては素晴らしいものです。でも、そうでない人に取っては人生は何も変わったりしません。

 

個人的に思うこと

一般の方たちはどこか同性婚について「それは悪いこと」という認識があるようで、私も常日頃から歯がゆい思いをしています。

しかしMaurice Williamsonさんのこの演説は、その概念をスっと打ち破ってくれました。

「『愛し合うカップルを結婚させてあげる』という法案の何が間違ったことなのかわかりません。」「この法案が通ることは、影響がある人に取っては素晴らしいものです。でも、そうでない人に取っては人生は何も変わったりしません。」

まさにそのとおりだと思います。

「ゲイでなく普通に生まれたかった…」元交際相手の家族3人殺害、「愛」に飢えた被告の苦悩

愛した人は皆、自分から離れていく-

元交際相手の男性2人の実家に放火、その家族計3人を殺害したなどとして、現住建造物等放火や殺人などの罪に問われた男性被告(47)の裁判員裁判。DV、ストーキングから放火殺人まで躊躇なく犯行を繰り返した残虐性とともに、「愛」に執着した被告の苦悩も浮かび上がりました。

妻と生活する同性愛者の被告が、交際相手の男性と3人で共同生活を送った上、別れ話のトラブルから交際相手の家族を殺害する-。そんな特異な犯行が山形、東京で繰り返されたことから、この事件は捜査段階から注目を集めました。

起訴状によると、被告は平成22年10月に山形市で、23年11月には東京都江東区で、元交際相手の男性計2人の実家に放火するなどし、その家族計3人を殺害したとされています。東京の事件では妻が共犯として起訴され、懲役18年の実刑判決が確定しています。

検察側は冒頭陳述や証拠調べで、両事件では

被告のDVを理由に交際相手側が同居を解消

⇒実家に戻った交際相手を複数回にわたり被告が連れ戻す

⇒同居再開の妨げとなる相手の親を殺害する

という共通の経緯をたどったと説明。さらに、東京事件での犯行状況を、次のように詳述しました。

プラスチック製の大きなたらいを逆さにして、その上に被告と妻が腰掛けている。たらいの中では、交際相手の家族の女性が必死に声を上げていた。「熱いっ」「嘘をついてごめんなさい」「許して」。交際相手の居場所を突き止めるため、被告と妻は火の付いた練炭とともに女性をたらいの中に閉じ込めた。女性の叫びを無視し、被告らは座りながら自宅に残してきた愛犬の話を続ける。「ごはんは大丈夫かなあ」。2時間後、女性は一酸化炭素中毒で息絶えたといいます。

交際相手の家族殺害にまで発展するトラブルとは、何だったのでしょうか。地裁内の別室と法廷を結ぶ「ビデオリンク方式」で証人尋問に応じた東京事件の元交際相手の男性が打ち明けたのは、ありふれたささいな不満でした。

証人「『共同生活に溶け込んでいない』『飼い犬を好きになってもらわないと困る』。そんな内容でした」

取るに足りない内容に見える問題だったが、被告の説教は「長い時は7、8時間続いた」といいます。山形事件の交際相手の男性も同様のトラブルから激しい暴力を受けたことをきっかけに警察に相談、同居を解消していました。

被告の気性の激しさを最もよく知っていたのは、14年に被告と結婚した妻です。2人は男女関係にない友人同士だったが、仕事上の必要性から籍を入れ、同居していたといいます。証人尋問で、事件に加担した理由について裁判官に問われると、涙ながらに訴えました。

証人「機嫌が悪くなると何をされるか分からない。籍を入れて間もなくのころ、テニスラケットで2畳分のガラスの引き戸をめちゃくちゃに割ったこともありました」

裁判官「物に対してだけでなく、証人が暴力を受けたこともありましたか」

証人「髪の毛を引っ張り床を引きずりまわされたり、木の棒で頭を殴られたり。(東京)事件後は机のご飯を全部ひっくり返したり、天ぷら油を腕にかけられることもありました」

犯行に加わった経緯について問われると、声を震わせて続けました。

証人「人を殺すのはとんでもないこと。でも、逆らえば私が殴り殺されるかもしれない。怖くて、何も言えませんでした…」

一方、弁護側は被告が交際相手に送ったメールの記録などを示し、激高した際に見せる暴力性とは対照的な日常の「素顔」を強調しました。

「夢のような時間でした。お母さん大切にしてあげてね」。山形事件では犯行前、いったん仲直りし観光を楽しんだ男性へのメールにそう綴りました。「今日は唐揚げ作るから、まっすぐ帰ってきてね」。東京事件の男性との交際では、炊事や洗濯の一切を請け負い、男性に尽くしていたといいます。

弁護側は、被告の家族、家庭への強い思い入れが、時に「共同生活への配慮が足りない」などと交際相手への過剰な要求につながったと指摘しました。証人として出廷した実姉は、被告の子供時代の家庭環境にも言及しました。

証人「両親の夫婦仲はあまりよくありませんでした。父は酔っ払って母に手を上げたりしていました。私は怖くて何もできませんでしたが、弟は5歳くらいの時からいつも母をかばっていました。父に聞いた話では、母に手を上げた時、中学生の弟に羽交い締めにされ『もうかなわない』と暴力を止めたと言っていました」

愛する母が平成6年にがんで死亡した際、被告は「僕も一緒に死にたかった」と漏らしたといいます。

被告の妻も、証人尋問で哀れみの視線を向けました。

証人「愛情不足で、性格がひん曲がってしまったのかな、と感じます。寂しがり屋のはずなのに、愛情表現を知らないまま大人になってしまったのかな。かわいそうな人なんです」

被告はさらに、同性愛者という社会的マイノリティーとして生きることの苦しみを、妻にこう吐露していました。

「ゲイはねちっこい人が多くて好きじゃない。できれば、普通に生まれたかった…」

23日の論告求刑公判で、検察側は「執拗なストーカー行為の末に落ち度のない家族を殺害した。冷酷極まりない犯行」として死刑を求刑。弁護側は「自己中心的で相手に固執する性格は、本人にはどうしようもない生まれ育ちの影響もある」と強調、「更生の余地がまったくないとはいえない」として極刑回避を求めました。判決は6月11日に言い渡されます。

逮捕後に自殺を図った被告を、証人出廷した医師は「鬱状態」と診断。10日間に及んだ審理では被告人質問も実施されたが、「わかりません」と繰り返すなど、被告が自分の言葉で事件を振り返る場面はほとんどなかったそうです。

「家族」を追い求め、「家族」を奪い、「家族」を失った被告。公判が、自身の人生を見つめ直す機会にならなかったとすれば、残念でなりません。

2013年5月26日「法廷から」